音楽業界の裏側を描き、家族の愛憎劇が巻き起こる大ヒットドラマ「エンパイア 成功の代償」。
エンパイアでは、現代社会の問題についても取り上げています。
ドラマを通してアメリカの社会問題と背景について考えていきます。
母クッキーからみる黒人女性
クッキーは強く頼りになる存在。
息子たちには愛情を注ぎ家族を支える母親です。
ドラマの中心的存在でありクッキーなしではエンパイアを語ることはできないでしょう。
クッキーはルシウスの罪を肩代わりし刑務所に17年間も入っていました。
刑務所に入っていて息子たちと離れていた期間が長いにも関わらず、家族の中でのクッキーの存在感は圧倒的。
黒人の場合、男性よりも女性が家族の中心的存在でということが関係しているのかもしれません。
黒人の家庭環境は日本人と大きく違う点が2つあります。
一つ目は、黒人男性が警察に捕まり刑務所に入れられてしまう場合が非常に多いこと。
後の文で説明しますが、父親が刑務所に入所して長期間いなければ母親が一家の稼ぎ頭となり働かなければ生活していくこともままなりません。
エンパイアでは上記のような場合とは違いますが、母親のクッキーを見れば家族の中でも絶大な信頼を得ていることからも黒人の家庭環境が反映されているといえるでしょう。
ジャマルが母のクッキーに向けた歌があり、母を愛していることがよくわかります。
そして二つ目、黒人女性の7割が未婚の母。
男性が刑務所に入ってしまう問題が深く関係しています。
黒人以外の男性と結婚となるとまた人種間で違った問題が起き、結婚することが困難。
そういった理由も含めて未婚率が高くなってしまう背景があります。
母子家庭が多いことからも、女性が必然的に家庭の中心とならざるを得ない状況となっているのです。
参考:日本では男性、米国では黒人女性の未婚率が高い
黒人の不当扱いと刑務所
アメリカでは特に若い黒人男性が、黒人だからという理由で警察に目を付けられ刑務所に入れられてしまうケースが驚くことにとても多い!
エンパイアシーズン3の3話では、長男のアンドレが元自宅に荷物を取りに行ったところで、近所の住民の通報により不当に逮捕される場面がありました。
おそらく黒人でなければここまで不当な扱いは受けなかったはず。
黒人だからという理由で警察にも目を付けられやすいのです。
悪人だろうがどんなにいい人であっても、黒人という一括りで適当に理由をつけられて刑務所へ入らざるを得ない状況が当たり前のようになってしまっている。
しかし、刑務所に入ったからといってまた再起のチャンスもあるのがアメリカ!
クッキーは17年間も刑務所に入っていましたが、これはレアなケースであり、通常ですともっと早く出所できることが多いのです。
黒人という理由ですぐに刑務所に入れるせいなのか、刑務所もすぐに受刑者で溢れかえってしまう。
そのため溢れかえってしまうので、釈放も早く行われるというサイクル。
良いのか悪いのかわかりませんが、不当な逮捕で捕まってしまった人にとってはありがたいのでしょう。
黒人男性が逮捕されることが珍しくないアメリカで、中には刑務所で暮らしていた経験があるアーティストが活躍している場合もある。
シーズン2ではルシウスが刑務所の中にいるにも関わらずレコーディングをするというトンデモナイ、いや斬新なアイディアで楽曲を作り上げています。
ゲイと偏見
ジャマルが歌にのせてゲイであることをカミングアウトする衝撃なシーンがありましたよね。
ルシウスは、ジャマルがゲイであることを認めたくないようでした。
ヒップホップ界では、同性愛者を嫌悪する傾向が強かったことが裏側にあると思われます。
近年少しずつ変化してきていますが、未だにゲイに対する偏見は根深いものでしょう。
ルシウスは、黒人ラッパーでもありヒップホップ界を牽引する存在だったからこそ、息子がゲイである事実を受け入れられなかったのかもしれません。
ジャマル役のジャシー・スモレット、多彩な彼ですが実際にも同性愛者であることを告白しています。
ドラッグ問題
ルシウスは、幼い頃から生きるために運び屋の仕事をしていた。
そして年月を重ねクッキーとルシウスで音楽制作の裏側、資金調達のためにドラッグを売っていました。
クッキーは、ドラッグ絡みで長い間服役することになってしまいました。
ルシウスは麻薬の売人を経てヒップホップ歌手、さらにはエンパイアという会社のCEOにまでのし上がりました。
しかし、麻薬の売人からルシウスの様に成功する人間は稀なのです。
中には一躍トップアーティストやセレブになる者もいますが、実際のところ夢半ばで逮捕されるか命を落とすことも少なくありません。
ミュージックビデオの撮影
エンパイアでも度々ミュージックビデオの撮影シーンがあります。
日本との違いの一つとして桁違いの制作費!
日本の予算が数百万なのに対し、アメリカでは数千万は当たり前、億単位でお金をかけるアーティストもいる!
アメリカTOPラッパーの稼ぎ
エンパイアという巨大帝国を一代で築き上げたルシウス・ライオン。
「ヒップホップで成功するとそんなに儲かるの?」
疑問に思う方もいるでしょう。
Forbes誌が発表した2015年収入ランキングTOP5
※1ドル=120円計算
- パフ・ダディ:6000万ドル【72億円】
- ジェイ・Z:5600万ドル 【62億円】
- ドレイク:3950万ドル 【47億円】
- ドクタードレー:3300万ドル 【40億円】
- ファレル・ウィリアムス:3200万ドル 【38億円】
まさにアメリカンドリームといったところでしょうか。
アメリカの音楽業界はすごいですね。
いかがでしたでしょうか。
エンパイアを見ていると音楽業界以外にも現代社会の問題が多く盛り込まれており、ドラマというストーリーを通じて知ることができます。
物語が面白いのはもちろんですが、社会問題にも考えさせられるドラマ。
今後の展開にも注目ですね。
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